大伴旅人の万葉集454-458番歌~アルケーを知りたい(1091)
▼今回の歌は旅人が731年に逝去したとき資人(しじん、従者)の余明軍(よのみょうぐん)が悲しみを歌った5首。旅人を慕っていた心情が伝わる。
天平三年辛未(かのとひつじ)の秋の七月に、大納言大伴卿の薨ぜし時の歌六首(うち最初の5首)
はしきやし栄えし君のいませば 昨日も今日も我を召さましを 万454
*お慕い申し上げているあなた様がご存命であれば、昨日も今日も私めをお召し出しくださったことでしょうに。
かくのみにありけるものを萩の花 咲きてありやと問ひし君はも 万455
*お亡くなりになる前、私めに「萩の花は咲いておるか」とお尋ねになりましたあなた様。
君に恋ひたもすべなみ葦鶴の哭(ね)のみし泣かゆ朝夕(あさよひ)にして 万456
*あなた様が恋しくて葦鶴が泣くように朝と言わず夕と言わず泣いています。
遠長(とほなが)く仕へむものと思へりし 君しまさねば心どもなし 万457
*遠く長くお仕えするものとばかり思っておりました。あなた様がいらっしゃらなくては心の支えもなくなりました。
みどり子の匍(ほ)ひた廻(もとほ)り朝夕に 哭(ね)のみぞ我が泣く君なしにして 万758
*赤ん坊が這い回るようにして、朝も夕も、あなた様がいらっしゃらないので泣くばかりです。
右の五首は、資人余明軍、犬馬の慕(したひ)に勝(あ)へずして、心の中に感緒(おも)ひて作る歌。
【似顔絵サロン】長屋王(ながやおう) 676 - 729 53歳 藤原四兄弟と対立して起きた長屋王の変。旅人が九州にいる間に起こった事件。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/tabito2.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E4%BC%B4%E6%97%85%E4%BA%BA
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