大伴旅人の万葉集838-846番歌~アルケーを知りたい(1107)

▼梅花の歌三十二首その4
▼梅の花、柳、かんざし、うぐいす、雪、酒。これらの言葉が梅花の宴のキーワードやなと思ふ(思わんでもキーワードやがな)。

梅の花散り乱ひたる岡びには うごひす鳴くも春かたまけて 大隅目榎氏鉢麻呂 万838
*梅の花が咲き乱れているこの岡では、鶯も鳴いています。まさに春たけなわです。

春の野に霧立ちわたり降る雪と 人の見るまで梅の花散る 筑前目田氏氏真上 万839
*春の野に霧が立ち雪が降っているのかと見まがうほどに梅の花が散っています。

春柳かづらに折りし梅の花 誰か浮かべし酒坏の上に 壱岐目村氏彼方 万840
*春の柳を折り取ってかづらにし、梅の花を酒の上に浮かべていらっしゃる人びと。

うぐひすの音聞くなへに梅の花 我家の園に咲きて散る見ゆ 対馬目高氏老 万841
*鶯の鳴き声を聞くたびにこの庭の梅の花が咲いては散るのが見えます。

我がやどの梅の下枝に遊びつつ うぐひす鳴くも散らまく惜しみ 薩摩目高氏海人 万842
*この庭園の梅の枝を飛び移りながら鶯が花が散るのを惜しんで鳴いています。

梅の花折りかざしつつ諸人の 遊ぶを見れば都しぞ思ふ 土師氏御道 万843
*梅の花を折ってかざしにして遊ぶ皆さまを見ていると都を思い出します。

妹が家に雪かも降ると見るまでに ここだもまがふ梅の花かも 小野氏国堅 万844
*妻の家に雪が降ったのかと思うほどにここでは梅の花が咲き乱れています。

うぐひすの待ちかてにせし梅が花 散らずありこそ思ふ子がため 筑前掾門氏石足 万845
*鶯ちゃんが待ちかねていた梅の花よ、散らずにいてね、梅の花を思い慕う子のために。

霞立つ長き春日をかざせれど いやなつかしき梅の花かも 小野氏淡理 万846
*霞立つ長い春の一日、梅の花をかんざしにしているけど、ますます心惹かれるものですな。

【似顔絵サロン】持統天皇 645 - 703 58歳。中大兄皇子(天智天皇)の娘。天武天皇の皇后。百人一首2:春すぎて夏来にけらし白妙の 衣ほすてふ天の香具山














〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/tabito2.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E4%BC%B4%E6%97%85%E4%BA%BA

コメント

このブログの人気の投稿

大伴旅人の万葉集459番歌~アルケーを知りたい(1092)

大伴旅人の万葉集876-879番歌~アルケーを知りたい(1117)

大伴旅人の万葉集577番歌~アルケーを知りたい(1097)