大伴旅人の万葉集868-870番歌~アルケーを知りたい(1114)

▼旅人は松浦ツアーに参加できなかった山上憶良に853から863の歌を贈った。以下の868から870までの歌は憶良から旅人に宛てた返答の歌3首。

 憶良 誠惶頓首 謹みて啓す。
憶良、聞くに、「方岳諸侯・都督刺史、ともに典法によりて部下を巡行し、その風俗を察る」と。
意内多端にして、口外に出だすこと難し。
謹みて三首の鄙歌をもちて、五臓の鬱結を写かむと欲ふ。
その歌に曰はく、
松浦県佐用姫の子が領巾振りし 山の名のみや聞きつつ居らむ 万868
*松浦で作用姫が頭巾を降ったというエピソードがある山の名前だけを聞き伺っております(聞くだけで私がこの目で見ていないのが口惜しい)。

足姫神の命の魚釣らすと み立たしせりし石を誰れ見き<一には「鮎釣る」といふ> 万869
*足姫命が魚(鮎)を釣るときにお立ちになったという石。この石を誰が見たのでしょう(私が見ていないのが口惜しい)。

百日しも行かぬ松浦道今日行きて 明日は来なむを何か障れる
*道中に百日もかからない松浦道。今日行って明日帰るのに何の差し障りがあるでしょう(行かない自分が歯がゆい)。

 天平二年七月十一日 筑前国司山上憶良 謹上

【似顔絵サロン】
孟 浩然 689 - 740 51歳。詩人。春眠不覺曉 處處聞啼鳥 夜來風雨聲 花落知多少














〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/tabito2.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E4%BC%B4%E6%97%85%E4%BA%BA

コメント

このブログの人気の投稿

大伴旅人の万葉集459番歌~アルケーを知りたい(1092)

大伴旅人の万葉集876-879番歌~アルケーを知りたい(1117)

大伴旅人の万葉集577番歌~アルケーを知りたい(1097)