大伴旅人の万葉集871番歌~アルケーを知りたい(1115)

▼山上憶良の868から870までの歌への旅人の返し。憶良の868番に松浦の佐用姫の話が出てきた。
▼そこで、旅人が作用姫エピソードと871番を添えて憶良に返信したのが今回の歌。

 大伴佐堤比古郎子、ひとり朝命を被り、使ひを蕃国に奉はる。
艤棹してここに帰き、やくやくに蒼波に赴く。
妾松浦、この別れの易きことを嗟き、その会ひの難きことを嘆く。
すなはち高き山の嶺に登り、離り去く船を遥望し、悵然肝を断ち、黯然魂を銷(け)つ。
つひに領巾を脱きて麾る。
傍の者涕を流さずといふことなし。
よりて、この山を号けて、領巾麾の嶺といふ。
すなはち歌を作りて曰はく、

遠つ人松浦佐用姫夫恋に 領巾振りしより負へる山の名 万871
*遠くにいる人を待つという松浦の佐用姫が夫に向かって領巾を振ったことから名づけられた山の名です。

【似顔絵サロン】旅人の同時代人。玄昉 ? - 746 奈良時代の学問僧。717年、阿倍仲麻呂、吉備真備らと長安に留学。735年に帰国。















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/tabito2.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E4%BC%B4%E6%97%85%E4%BA%BA

コメント

このブログの人気の投稿

大伴旅人の万葉集459番歌~アルケーを知りたい(1092)

大伴旅人の万葉集876-879番歌~アルケーを知りたい(1117)

大伴旅人の万葉集577番歌~アルケーを知りたい(1097)