山上憶良の万葉集143-145番歌~アルケーを知りたい(1129)

▼いにしへの人びとは、再会の願いを込めて松の枝を結んでいた。それを見た人が歌を詠んでいた。

 長忌寸意吉麻呂、結び松を見て哀咽(かな)しぶる歌二首
岩代の崖の松が枝結びけむ 人は帰りてまた見けむかも 万143
*岩代の崖に生えている松の枝を結んだ人は、再び帰って見ることができたのでしょうか。

岩代の野中に立てる結び松 心も解けずいにしへ思ほゆ 万144
*岩代の野の中に生えている松の結びよ。私の心も解けないまま昔に思いをはせるのです。

 山上臣憶良が追和の歌一首
天翔りあり通ひつつ見らめども 人こそ知らね松は知るらむ 万145
*松の枝を結んだ方の霊は天を駆け巡って見ておられることでしょう。人には分からないけれども、松は知っているのでしょう。

 右の件の歌どもは、柩を挽く時に作るところにあらずといへども歌の意を准擬(なずら)ふ。
この故に挽歌の類に載す。

【似顔絵サロン】憶良(660-733)の同時代人。道慈 どうじ ? - 744 奈良時代の僧。粟田真人の遣唐使に憶良らと共に加わる。















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E4%B8%8A%E6%86%B6%E8%89%AF
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/okura2.html

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