山上憶良の万葉集868-870番歌~アルケーを知りたい(1136)

▼旅人の松浦ツアーに憶良は仕事と重なって参加できなかった。そこで後から作って旅人に贈った歌3首。
▼仕事先での見聞がよほど重くのしかかったのか「五蔵の鬱結」と表現している。3首の歌を詠んでその複雑な思いを取り除こうとした。

 憶良 誠惶頓首 謹みて啓す。
憶良、聞くに、「方岳諸侯・都督刺史、ともに典法によりて部下を巡行し、その風俗を察る」と。
意内多端にして、口外に出だすこと難し。
謹みて三首の鄙歌をもちて、五蔵の鬱結を写かむと欲ふ。
その歌に曰はく、

松浦県作用姫の子が領巾振りし 山の名のみや聞きつつ居らむ 万868
*松浦県の作用姫が領巾を振ったという伝説の山。その山の名前だけをここで聞いております。

足姫神の命の魚釣らすと み立たしせりし石を誰れ見き 万869
*足姫神の命が魚を釣ろうとお立ちになった石、この石は誰がご覧になったのでしょう。

百日しも行かぬ松浦道今日行きて 明日は来なむを何か障れる 万870
*往復に百日もかからない松浦道を今日出発して明日は帰るのに何の支障がありましょうか。

 天平二年七月十一日 筑前国司山上憶良 謹上

【似顔絵サロン】憶良(660-733)の同時代人。猿丸 大夫 さるまるの たいふ ? - ? 歌人。『古今和歌集』の時代の人。奧山のもみぢ踏みわけ鳴く鹿の 声きく時ぞ秋はかなしき 百人一首5















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E4%B8%8A%E6%86%B6%E8%89%AF
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/okura2.html

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