柿本人麻呂の万葉集135-137番歌~アルケーを知りたい(1163)

▼人麻呂が「妹(いも)との別れを美しく詠った歌。長歌の最後で「ますらをと 思へる我も衣の袖が涙で濡れると締めた。歌には妹がよく出てくるけど、誰なのだろう。

つのさはふ 石見の海の 
言さへく 唐の崎なる 
海石にぞ 深海松生ふる 
荒磯にぞ 玉藻は生ふる 
玉藻なす 靡き寝し子を 
深海松の 深めて思へど 
さ寝し夜は 幾時もあらず 
延ふ蔦の 別れし来れば 
肝向ふ 心を痛み 
思ひつつ かへり見すれど 
大船の 渡の山の 
黄葉の 散りの乱ひに 
妹が袖 さやにも見えず 
妻ごもる 屋上の<一には「室上川」といふ>山の 
雲間より 渡らふ月の 
惜しけども 隠らひ来れば 
天伝ふ 入日さしぬれ 
ますらをと 思へる我も 
敷栲の 衣の袖は 
通りて 濡れぬ 万135

 反歌二首
青駒が足掻きを速み雲居にぞ 妹があたりを過ぎて来にける<一には「あたりは隠り来にける」といふ> 万136
*私の乗っている馬の歩みがとても速いので、妻がいる場所を通り過ぎてしまいました。

秋山に散らふ黄葉しましくは な散り乱ひそ妹があたり見む<一には「散りな乱ひそ」といふ> 万137
*秋の山の黄葉には、しばらくの間、散るのを控えてもらいたいものだ。妻がいる場所を眺めたいので。

【似顔絵サロン】柿本人麻呂(660-724)の同時代人。元正天皇 げんしょうてんのう 680 - 748 第44代天皇。独身で即位した初めての女性天皇。母親は元明天皇。あしひきの山行きしかば山人の 我に得しめし山づとぞこれ 万4293














〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetailLink?cls=d_utabito&dataId=201
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9F%BF%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E9%BA%BB%E5%91%82
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/hitomaro2_t.html

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