柿本人麻呂の万葉集38-39番歌~アルケーを知りたい(1159)

▼持統天皇は幾度も吉野に行幸された。柿本人麻呂の38番の長歌は、記念写真のように絵葉書のように風景と季節を描写している。

 吉野の宮に幸す時に、柿本朝臣人麻呂が作る(第二群)
やすみしし 我が大君 
神ながら 神さびせすと 
吉野川 たぎつ河内に 
高殿を 高知りまして 
登り立ち 国見をせせば 
たたなはる 青垣山 
山神の 奉る御調(みつき)と 
春へは 花かざし持ち 
秋立てば 黄葉かざせり<一には「黄葉かざし」といふ> 
行き沿ふ 川の神も 
大御食(おほみけ)に 仕へ奉ると 
上つ瀬に 鵜川を立ち 
下つ瀬に 小網さし渡す 
山川も 依りて仕ふる 
神の御代かも 万38

 反歌
山川も依りて仕ふる神ながら たぎつ河内に舟出せすかも 万39
 右は、日本紀には「三年己丑の正月に、天皇吉野の宮に幸す。
八月に、吉野の宮に幸す。
四年庚寅の二月に、吉野の宮に幸す。
五月に、吉野の宮に幸す。
五年辛卯の正月に、吉野の宮に幸す。
四月に、吉野の宮に幸す」といふ。
いまだ詳らかにいづれの月の従駕(おほみとも)にして作る歌なるかを知らず。
*天皇は山の神も川の神も依って使える神であられる。波が激しく湧きたつ河内に船を漕ぎ出される。

【似顔絵サロン】柿本人麻呂(660-724)の同時代人。文武天皇 もんむてんのう 683 - 707 24歳。第42代天皇。持統天皇は祖母み吉野の山のあらしの寒けくに はたや今夜も我がひとり寝む 万74















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetailLink?cls=d_utabito&dataId=201
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9F%BF%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E9%BA%BB%E5%91%82
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/hitomaro2_t.html

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