柿本人麻呂の万葉集1812-1818番歌~アルケーを知りたい(1191)

▼人麻呂の「霞たなびく」シリーズ。歌の中に「霞たなびく」が詠みこまれている。こういう趣向は面白いので何かで真似したくなる。

 春雑歌
ひさかたの天の香具山この夕 霞たなびく春立つらしも 万1812
*天の香具山の夕方、霞がたなびいている。春が来たようだ。

巻向の檜原に立てる春霞 おほにし思はばなづみ来めやも 万1813
*檜原の春霞のようにぼんやりした思いでは苦労してここまで来たりはしない。

いにしへの人が植ゑけむ杉が枝に 霞たなびく春は来ぬらし 万1814
*昔の人が植えた杉の枝に霞がかかっている。春が来た印だ。

子らが手を巻向山に春されば 木の葉しのぎて霞たなびく 万1815
*巻向山に春が来ると、木の葉を霞が覆ってたなびく。

玉かぎる夕さり来ればさつ人の 弓月が岳に霞たなびく 万1816
*夕刻が近づくと弓月が岳に霞がたなびく。

今朝行きて明日には来ねと言ひし子か 朝妻山に霞たなびく 万1817
*今朝はお出かけになっても明日はまた戻って来てくださいと言った子のように、朝妻山に霞がたなびく。

子らが名に懸けのよろしき朝妻の 片山崖に霞たなびく 万1818
 右は、柿本朝臣人麻呂が歌集に出づ。
*その子の名に懸けるのにふさわしい朝妻の片山崖に霞がたなびく。

【似顔絵サロン】柿本人麻呂(660-724)の先代人。ヌルシアのベネディクトゥス Benedictus de Nursia 480 - 547 中世のキリスト教の修道院長。西欧修道士の父。














〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetailLink?cls=d_utabito&dataId=201
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9F%BF%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E9%BA%BB%E5%91%82
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/hitomaro2_t.html

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