柿本人麻呂の万葉集249-256番歌~アルケーを知りたい(1181)
▼羇旅は旅のこと。旅行中のあれこれを詠んだ歌。船での移動のようだ。場所は、野島が淡路島、敏馬が神戸、藤江が明石。
柿本朝臣人麻呂が羇旅の歌八首
御津の崎波を畏み 隠江の船なる君は野島にと宣る 万249
*御津の崎の波が高いので安全のため、隠江に船を入れて静まるのを待っていた主君は、さあ野島に向かおうと宣言する。
玉藻刈る敏馬を過ぎて夏草の 野島の崎に船近づきぬ 万250
一本には「処女を過ぎて夏草の野島が崎に廬りす我は」といふ。
*敏馬のあたりを過ぎて、夏草が茂る野島の先に船が近づいている。
淡路の野島の崎の浜風に 妹が結びし紐吹き返す 万251
*淡路の野島の崎で吹いてくる浜風に、妻が結んだ服の紐が風にたなびいている。
荒栲の藤江の浦に鱸釣る 海人とか見らむ旅行く我れを 万252
一本には「白栲の藤江の浦に漁りする」といふ。
*藤江の浦で鱸を釣る海人と見られるかも知れないな、旅をしている私は。
稲日野も行き過ぎかてに思へれば 心恋しき加古の島見ゆ<一には「水門(みと)見ゆ」といふ> 万253
*稲日野を通り過ぎたと思っていると心恋しい加古の島が見えてきた。
燈火の明石大門に入らむ日や 漕ぎ別れなむ家のあたり見ず 万254
*燈火のある明石大門に入る日になると、漕ぎながら別れるのだろうか、家のあたりを見ることもなく。
天離る鄙の長道ゆ恋ひ来れば 明石の門より大和島見ゆ 万255
一本には「家のあたり見ゆ」といふ。
*田舎の長い道を家が恋しいなあと思いながら進むと、明石の門から大和島が見えてくる。
笥飯の海の庭よくあらし 刈薦の乱れて出づ見ゆ海人の釣船 万256
一本には「武庫の海船庭ならし漁りする 海人の釣船波の上見ゆ」といふ。
*笥飯の海はよい漁場のようだ、海人の釣船がたくさん出ている。
【似顔絵サロン】柿本人麻呂(660-724)の先代人。ホスロー1世 Khusrau I ? - 579 ササン朝ペルシア帝国の第21代君主。不死の霊魂を持つ者。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetailLink?cls=d_utabito&dataId=201
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9F%BF%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E9%BA%BB%E5%91%82
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/hitomaro2_t.html
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