山部赤人の万葉集938-941番歌~アルケーを知りたい(1202)

▼今回の歌は、明石~加古川あたり、昔は印南野(いなみの)と言っていた場所に聖武天皇が行幸したとき、赤人が土地を讃えて歌った作品。漁師のマグロ漁や焼き塩製造で活気に満ちた様子が伝わってくる。
▼「浦が良いからなるほどこれだけ釣りをするのだ、浜が良いからなるほどこれだけ塩を焼くのだ」だから「天皇はいつもお通いになってご覧になるのだ」とまとめている。

 山部宿禰赤人が作る歌一首 幷せて短歌
やすみしし 我が大君の 
神ながら 高知らせる 
印南野の 邑美の原の 
荒袴の 藤井の浦に 
鮪釣ると 海人舟騒ぎ 
塩焼くと 人ぞさはにある 
浦をよみ うべも釣りはす 
浜をよみ うべも塩焼く 
あり通ひ 見さくもしるし 
清き白浜 万938

 反歌三首
沖つ波辺波静けみ漁りすと 藤江の浦に舟ぞ騒ける 万939
*沖合の波が静かになると、さあ漁だ、ということで藤江の浦には舟がたくさん押し寄せています。

印南野の浅茅押しなべさ寝る夜の 日長くしあれば家し偲はゆ 万940
*印南野で野宿する夜。一日が長いので暖かい家が恋しくなります。

明石潟潮干の道を明日よりは 下笑ましけむ家近づけば 万941
*明日からは、明石潟の潮干の道を通って家に戻るのかと思うと自然に頬が緩みます。

【似顔絵サロン】山部赤人(700-736)の先代人。鮑 照 ほう しょう 414 - 466 詩人。














〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_utabito&dataId=695
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E9%83%A8%E8%B5%A4%E4%BA%BA
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/akahito2.html

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