万葉集巻10-12番歌(君が代も我が代も)~アルケーを知りたい(1237)

▼今回の歌を作った中皇命(なかつすめらみこと)は、舒明天皇の娘の間人皇女のこと、歌に出てくる「君が代の君」は中大兄皇子のこと。後書きの「天皇の御製」の天皇とは、斉明天皇のことだそうだ。斉明天皇に代わって中皇命が歌を作った格好。
▼10番歌の岩代の岡とは和歌山県にある地域。草根を結ぶのは長寿を祈るまじない。岩代の岡の草根が人の命を支配している、という前提。
▼和歌っぽいリズムと名詞と言い回しが出ている。和歌の泉源と思ふ。

 中皇命、紀伊の温泉に往す時の御歌
君が代も我が代も知るや岩代の 岡の草根をいざ結びてな 万10
*私たちを支配している岩代の岡の草根。さあ、草根を結んで幸いを祈りましょう。

我が背子は仮廬作らす草なくは 小松が下の草を刈らさね 万11
*われらの君が仮廬をお造りです。屋根を葺く茅がなかったら、小松の下の草を刈り取ってください。

我が欲りし野島は見せつ底深き 阿胡根の浦の玉ぞ拾はむ 或いは頭に「我が欲りし子島は見しを」といふ 万12
*私が見たかった野島は見せてもらいました。あとは阿胡根の浦の底深いところにある玉を拾えばOKです。
 右は、山上憶良大夫が類聚歌林に検すに、曰はく、「天皇の御製歌云々」といふ。

【似顔絵サロン】斉明天皇 さいめいてんのう 594年 - 661年 第37代天皇。舒明天皇の皇后。天智天皇・間人皇女(孝徳天皇の皇后)・天武天皇の母親。皇極天皇と同一人物。














〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=1

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