大伴家持の万葉集1037、1042-1043番歌~アルケーを知りたい(1212)

▼1037番は、743(天平15)年に、家持が作った久邇の都(くにのみやこ)讃歌。山と川の良きを誉めている。
▼1043番と1043番は久邇を散策して松を見たときの歌。前者は市原王の作、後者が家持。松はこの時代の人にとって歌の材料にしやすい存在だったようだ。

 十五年癸未の秋の八月の十六日に、内舎人大伴宿禰家持、久邇の京を讃めて作る歌一首
今造る久邇の都は山川の さやけき見ればうべ知らすらし 万1037
*現在造成中の久邇の都は山や川がすがすがしい。それを見るとここに都を建設するのはもっともなことです。

 十六年甲申の春の正月の十一日に、活道の岡に登り、一株の松の下に集ひて飲む歌二首
一つ松幾代か経ぬる吹く風の 声の清きは年深みかも 万1042
 右の一首は市原王が作。
*この一本の松は年を経たものなのだろう。吹き抜ける風の音が清いのは年を重ねているからだろう。

たまきはる命は知らず松が枝を 結ぶ心は長くとぞ思ふ 万1043
*私どもの寿命がどれくらいかは分かりません。松の枝を結んで、長寿を祈ろうと思います。

【似顔絵サロン】大伴家持(718-785)の同時代人。9歳年下。藤原 継縄 ふじわら の つぐただ 727 - 796 奈良時代後期~平安時代初期の公卿。藤原南家の祖・藤原武智麻呂の孫。














〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_utabito&dataId=174
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E4%BC%B4%E5%AE%B6%E6%8C%81
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/yakamot2.html

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