大伴家持の万葉集3960-3961番歌~アルケーを知りたい(1225)

▼家持が友達の大伴池主との再会を喜ぶ歌。庭に雪が降りはじめどんどん積もる。宿からは海が見えて、漁夫の舟が浮かんでいる様子が眺められる。お酒、詩作、琴の用意も整っている。詩酒の宴、弾糸飲楽。最高のシチュエーション。
▼11年後の757年、藤原仲麻呂の打倒を目指す橘奈良麻呂の乱が起る。このとき打倒側に加わった池主は捉えられ獄死。

 相歓ぶる歌二首 越中守大伴宿禰家持作る
庭に降る雪は千重敷くしかのみに 思ひて君を我が待たなくに 万3960
*庭に降る雪が千重にも積もっています。それ以上に私はあなた様をお待ちしていました。

白波の寄する磯廻を漕ぐ舟の 楫取る間なく思ほえし君 万3961
*白波が立つ磯のあたりを漕ぎ進む舟の楫取りと同じくあなた様をしょっちゅう思い出しておりました。
 右は、天平十八年の八月をもちて掾大伴宿禰池主、大帳使に付きて、京師に赴き向ふ。
しかして同じ年の十一月に、本任に還り至りぬ。
よりて、詩酒の宴を設け、弾糸飲楽す。
この日、白雪たちまちに降り、地に積むこと尺余。
この時に、また漁夫の舟、海に入り、瀾に浮けり。
ここに、守大伴宿禰家持、情を二眺に寄せ、いささかに所心を裁る。

【似顔絵サロン】大伴家持(718-785)の同時代人。9歳年上。光仁天皇 こうにんてんのう 709 - 782 第49代天皇。天智天皇の孫。














〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_utabito&dataId=174
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E4%BC%B4%E5%AE%B6%E6%8C%81
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/yakamot2.html

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