大伴家持の万葉集3991-3992番歌~アルケーを知りたい(1229)

▼今回も富山県高岡市の自然を褒める家持の歌。仲間と馬を並べて風景を楽しみ、さらに舟を浮かべて水上からも風景を味わう。この人たちは、気球があれば、空からの風景を眺めて歌にしたに違いない。射水の郡の布勢の水海が万葉スポットだと知れる歌だ。

 布勢の水海に遊覧する賦一首 幷せて短歌<この海は射水の郡の古江の村に有り>
もののふの 八十伴の男の 
思ふどち 心遣らむと 
馬並めて うちくちぶりの 
白波の 荒磯に寄する 
渋谿の 崎た廻り 
麻都太江の 長浜過ぎて 
宇奈比川 清き瀬ごとに
鵜川立ち か行きかく行き 
見つれども そこも飽かにと 
布施の海に 舟浮け据ゑて 
沖辺漕ぎ 辺に漕ぎ見れば 
渚には あぢ群騒き 
島廻には 木末花咲き 
ここばくも 見のさやけきか 
玉櫛笥 二上山に 
延ふ蔦の 行きは別れず 
あり通ひ いや年のはに 
思ふどち かくし遊ばむ 
今も見るごと 万3991

布勢の海の沖つ白波あり通ひ いや年のはに見つつ偲はむ 万3992
*布勢の海の沖に立つ白波のように毎年ここに通って思いをはせよう。
 右は守大伴宿禰家持作る。四月の二十四日

【似顔絵サロン】大伴家持(718-785)の同時代人。9歳年上。張 巡 ちょう じゅん 709 - 757 唐代の武将。中国史上有名な忠義義士のひとり。














〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_utabito&dataId=174
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E4%BC%B4%E5%AE%B6%E6%8C%81
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/yakamot2.html

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