大伴家持の万葉集4514-4516番歌~アルケーを知りたい(1230)

▼今回は万葉集の最後の3首を見る。いずれも家持の歌。ラストを飾る4516番は759年の作。この年、家持41歳。
▼幸いを祈るいやしけ吉事」で締め括る姿勢が学び所と思ふ。

 二月の十日に、内相が宅にして渤海大使小野田守朝臣等を餞する宴の歌一首
青海原風波靡き行くさ来さ つつむことなく舟は早けむ 万4514
 右の一首は右中弁大伴宿禰家持。<いまだ誦せず>
*青海原は風も波も靡いています。往来には何の問題もなく舟はすいすいと進むことでしょう。

 七月の五日に、治部少輔大原今城真人が宅にして、因幡守大伴宿禰家持を餞する宴の歌一首
秋風の末吹き靡く萩の花 ともにかざさず相別れむ 万4515
 右の一首は、大伴宿禰家持作る。
*秋風が萩に吹いて花が靡いています。共に萩の花を共にかざさすこともできずお別れすることになるんですね。

 三年の春の正月の一日に、因幡の国の庁にして、饗を国郡の司等に賜ふ宴の歌一首
新しき年の初めの初春の 今日降る雪のいやしけ吉事 万4516
 右の一首は、守大伴宿禰家持作る。
*新しい年の初め。初春の今日降っている雪のようにめでたいことが降り積もりますように。

【似顔絵サロン】大伴家持(718-785)の同時代人。14歳年上。菩提僊那 ぼだいせんな 704 - 760 奈良時代の渡来僧。南インド出身。ボーディセーナ。752年、東大寺大仏殿の開眼供養法会導師。














〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集四』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_utabito&dataId=174
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E4%BC%B4%E5%AE%B6%E6%8C%81
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/yakamot2.html

コメント

このブログの人気の投稿

万葉集巻第二147‐149番歌(天の原振り放け見れば大君の)~アルケーを知りたい(1266)

万葉集巻第三417‐419番歌(岩戸破る手力もがも)~アルケーを知りたい(1298)

万葉集巻22番歌(常にもがもな常処女)~アルケーを知りたい(1242)