大伴家持の万葉集475-477番歌~アルケーを知りたい(1210)

▼17歳で亡くなった安積(あさか)皇子。身近で仕えていた家持が悲しんで作った歌。今回は六首のうちはじめの3首。

 十六年甲申の春の二月に、安積皇子薨ぜし時に、内舎人大伴宿禰家持が作る歌六首
かけまくも あやに畏し 
言はまくも ゆゆしきかも 
我が大君 皇子の命
万代に 見したまはし 
大日本 久邇の都は 
うち靡く 春さりぬれば 
山辺には 花咲きををり 
川瀬には 鮎子さ走り 
いや日異に 栄ゆる時に 
およづれの たはこととかも
白栲に 舎人よそひて 
和束山 御輿立たして 
ひさかたの 天知らしぬれ 
臥いまろび ひづち泣けども 
(せ)むすべもなし 万475

 反歌
我が大君天知らさむと思はねば おほにぞ見ける和束杣山 万476
*わが大君が天から治めるとは思っていなかったので、なおざりに見ていたこの和束杣山(わつかそまやまでした。

あしひきの山さへ光り咲く花の 散りぬるごとき我が大君かも 万477
 右の三首は、二月の三日に作る歌。
*山さえもが光るように咲いていた花が散ってしまいました、我が大君よ。

【似顔絵サロン】大伴家持(718-785)の同時代人。4歳年下。アブー・アル=アッバース Abbas `Abdu'llāh 722 - 754 アッバース朝の初代カリフ。














〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_utabito&dataId=174
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E4%BC%B4%E5%AE%B6%E6%8C%81
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/yakamot2.html

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