万葉集巻第二145‐146番歌(天翔りあり通ひつつ見らめども)~アルケーを知りたい(1265)

▼謀反を企てたとされ、絞首刑に処された有間皇子の「結び松」を通して山上憶良と柿本人麻呂が感慨を述べる歌。本当のことは「人こそ知らね松は知るらむ」。

 山上臣憶良が(143番歌に対して)追和の歌一首
天翔りあり通ひつつ見らめども 人こそ知らね松は知るらむ 万145
*有間皇子の御霊は天から通って御覧になっていることでしょう。我われ人間には知る由もありません。でも松は知っているでしょう。
 右の件の歌どもは、柩を挽く時に作るところにあらずといへども歌の意を准擬ふ。
この故に挽歌の類に載す。

 大宝元年辛丑に、紀伊の国に幸す時に、結び松を見る歌一首 柿本朝臣人麻呂が歌集の中に出づ
後見むと君が結べる岩代の 小松がうれをまたも見むかも 万146
*後でまた見ようという気持ちで有間皇子が結んだ岩代の小松の梢。再び見ただろうか。

【似顔絵サロン】孝徳天皇 こうとくてんのう 596年 - 654年 第36代天皇。有間皇子の父親。















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=2

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