万葉集巻第二159‐161番歌(燃ゆる火も取りて包みて)~アルケーを知りたい(1268)
▼今回は、天武天皇の崩御後、持統天皇が偲んだ歌。天武‐持統夫妻はとても仲が良く、持統天皇が病気になったとき天武天皇は薬師寺を建立して回復を祈った。幸い持統天皇は回復。▼天武天皇亡きあと、持統天皇は天武天皇が手掛けていた飛鳥浄御原令の施行と藤原京遷都を実現する。持統天皇が死去すると天武天皇と同じ天皇陵に合葬される。▼持統天皇は天武天皇との間に生まれた草壁皇子をさぞ大事に思っていたことだろう。
天皇の崩りましし時に、大后の作らす歌一首
やすみしし 我が大君し
夕されば 見したまふらし
明けくれば 問ひたまふらし
神岳の 山の黄葉を
今日もかも 問ひたまはまし
明日もかも 見したまはまし
その山を 振り放け見つつ
夕されば あやに悲しみ
明け来れば うらさび暮らし
荒栲の 衣の袖は
干る時もなし 万159
一書に曰はく、天皇の崩りましし時の太上天皇の御製歌二首
燃ゆる火も取りて包みて袋には 入ると言はずやも智男雲 万160
*燃えている火を取って包んで袋に入れられると言うではないか、智男雲よ。
北山にたなびく雲の青雲の 星離れ行き月を離れて 万161
*北山にたなびく雲の青雲が、星から離れ、月を離れている。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=2
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