万葉集巻17‐19番歌(味酒三輪の山)~アルケーを知りたい(1240)
▼万葉集17番の長歌は三輪山の眺めの良さを褒める歌・・・なんだけど、「つばらにも」「しばしばも」のリズムが面白くてそっちに目が行く。この歌は、三輪山を眺めたいのに雲が邪魔する、と言いつつ「つばらにも」「しばしばも」が歌を邪魔しているのがおかしい。
額田王、近江の国に下る時に作る歌、井戸王が即ち和ふる歌
味酒 三輪の山
あおによし 奈良の山の
山の際に い隠るまで
道の隈 い積もるまでに
つばらにも 見つつ行かむを
しばしばも 見放けむ山を
心なく 雲の
隠さふべしや 万17
*三輪山が奈良の山々で隠されるまで、ずっと歩きながら見ていたいのに、心無い雲が邪魔します。
反歌
三輪山をしかも隠すか雲だにも 心あらなも隠さふべしや 万18
*三輪山をそれほど隠したいのか、雲よ、心があるなら隠さないでおくれ。
右の二首は、山上憶良大夫が類聚歌林には「都を近江の国に遷す時に三輪山の御覧す御歌なり」といふ。
日本書紀には「六年丙寅の春の三月に辛酉の朔の己卯に、都を近江に遷す」といふ。
綜麻形の林のさきのさ野榛の衣に 付くなす目につく我が背 万19
*綜麻形(三輪山)の林のハンノキが衣に付くように、目につく私の夫よ。
右の一首の歌は、今案ふるに和ふる歌に似ず。
ただし、旧本、この次に載す。
この故になほ載す。
【似顔絵サロン】蘇我 入鹿 そが の いるか ? - 645 飛鳥時代の豪族。父親は蘇我蝦夷。乙巳の変で中大兄皇子と中臣鎌足に殺される。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=1
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