万葉集巻20‐21番歌(あかねさす紫野)~アルケーを知りたい(1241)

▼今回の2つの歌は、大人の事情の歌。額田王が作った20番の冒頭に出てくる天皇は天智天皇、君が袖振るの君は大海人皇子(後の天武天皇)。21番は大海人皇子が詠った歌で、歌に出てくる妹は額田王のこと。

 天皇、蒲生野に遊猟したまふ時に、額田王が作る歌
あかねさす紫野行き標野行き 野守は見ずや君が袖振る 万20
*紫草の野原で標識のある野原でそんなに手を振ると野原の管理人が見ていますよ。
 皇太子の答へたまふ御歌 <明日香の宮に天の下知らしめす天皇、諡して天武天皇といふ>

紫草のにほへる妹を憎くあらば 人妻故に我れ恋ひめやも 万21
*紫草が匂うような貴女だから、人妻なのに気になっているのです。
 紀には「天皇の七年丁卯の夏の五月の五日に、蒲生野に御猟す。時に大皇弟・諸王、内臣また群臣、皆悉に従なり」といふ。

【似顔絵サロン】天武天皇 てんむてんのう / 大海人皇子 622年 - 686年 第40代天皇。父親は舒明天皇、母親は皇極天皇。兄が中大兄皇子。『日本書紀』と『古事記』の編纂を開始「天皇」を称号とし「日本」を国号とした天皇。ポリシーは「政の要は軍事である」。














〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=1

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