万葉集巻23‐24番歌(伊良虞の島)~アルケーを知りたい(1243)

麻続王(をみのおほきみ)が愛知県の伊良虞(いらご)の島に流されたときの歌。「島の玉藻刈り食む」生活は、島流しなのでマインドがへこたれそうだけど、ライフスタイルそのものは良きじゃないの?と思ふ。

 麻続王、伊勢の国の伊良虞の島に流さゆる時に、人の哀傷しびて作る歌
打ち麻を麻続に王海人なれや 伊良虞の島の玉藻刈ります 万23
*麻を打って柔らかくしたような麻続王は海人なのでしょうか。伊良虞の島で玉藻を刈り取っています。 

 麻続王、これを聞きて哀傷しびて和ふる歌
うつせみの命の惜しみ波に濡れ 伊良虞の島の玉藻刈り食む 万24
*現世のこの命を惜しんで波に濡れながら伊良虞の島で玉藻を刈っては食べています。
 右は、日本紀を案ふるに、曰はく「天皇の四年乙亥の夏の四月戊戌の朔の乙卯に、三位麻続王罪あり。
因幡に流す。
一の子をば伊豆の島に流す。
一の子をば血鹿の島に流す」といふ。
ここに伊勢の国の伊良虞の島に流すといふは、けだし後の人、歌の辞に縁りて誤り記せるか。

【似顔絵サロン】小野 篁 おの の たかむら 802年 - 853年 平安時代初期の公卿、文人。麻続王と同じく島流しの経験がある。思ひきや鄙のわかれにおとろへて海人の縄たき漁せむとは 古今961














〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=1

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