万葉集巻25‐26番歌(み吉野の耳我の嶺に)~アルケーを知りたい(1244)

▼今回の二つの歌の作者は天武天皇。671年、近江大津宮で天智天皇に自分は出家しますと告げ、妻子・舎人らと吉野に移る。そのときの歌。この直後に壬申の乱が始まる。緊迫感に満ちている歌。

 天皇の御製歌
み吉野の 耳我の嶺に 
時なくぞ 雪は降りける 
間なくぞ 雨は降りける 
その雪の 時なきがごと 
その雨の 間なきがごと 
隈もおちず 思ひつつぞ来し 
その山道を 万25
*吉野の耳我の嶺に雪や雨が降っている。その山道を物思いしながら歩いてきた。

 或本の歌
み吉野の 耳我の山に 
時じくぞ 雪は降るといふ
間なくぞ 雨は降るといふ 
その雪の 時じきがごと 
その雨の 間なきがごと 
隈もおちず 思ひつつぞ来し 
その山道を 万26

【似顔絵サロン】天武天皇 てんむてんのう / 大海人皇子 622年 - 686年 父親は舒明天皇、母親は皇極天皇。中大兄皇子の弟。第40代天皇。「政の要は軍事である」














〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=1

コメント

このブログの人気の投稿

万葉集巻第二147‐149番歌(天の原振り放け見れば大君の)~アルケーを知りたい(1266)

万葉集巻22番歌(常にもがもな常処女)~アルケーを知りたい(1242)

万葉集巻第二143‐144番歌(岩代の崖の松が枝結びけむ人は)~アルケーを知りたい(1264)