万葉集巻29‐31番歌(玉たすき畝傍の山の)~アルケーを知りたい(1247)

▼タイトルの「近江の荒れたる都」とは、天智天皇時代の近江大津の宮のこと。栄枯盛衰、盛者必衰の情を詠ったものか。光が強いと影も濃いというのか。人麻呂は「見れば悲しも」と詠っているから、やはり時の流れによる変化を悲しいものとして捉えているようだ。

 近江の荒れたる都を過ぐる時に、柿本朝臣人麻呂が作る歌
玉たすき 畝傍の山の 
・・・ 
※以下は前に1157回で取り上げたので略。

 反歌
楽浪の志賀の唐崎幸くあれど 大宮人の舟待ちかねつ 万30
*楽浪の志賀の唐崎(大津市)は昔と変わらない。でもいくら待っても大宮人が乗った舟は来ない。

楽浪の志賀の<一には「比良の」といふ>大わだ淀むとも 昔の人にまたも遭はめやも<一には「遭はむと思へや」といふ> 万31
*楽浪の志賀の大わだは淀んでいるけれども、昔の人に遭うことはできないのだ。

【似顔絵サロン】柿本 人麻呂 かきのもと ひとまろ 645年 - 724年 飛鳥時代の歌人。














〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=1

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