万葉集巻32‐33番歌(荒れたる都見れば悲しも)~アルケーを知りたい(1248)

▼ここで謳われている近江の旧き都とは、天智天皇時代の近江大津のこと。現在の滋賀県大津市。天武天皇は飛鳥浄御原宮、現在の奈良県明日香村に宮を置いたので、近江大津は旧き都になった。偉大な天智天皇も逝去した後は時代が変わる。宮も移転し、過去のものとなった。それを高市黒人は「うらさびて荒れたる都見れば悲しも」と詠った。

 高市古人、近江の旧き都を感傷しびて作る歌 或書には「高市黒人」といふ
古の人に我れあれや楽浪の 古き都を見れば悲しき 万32
*私はまるで昔の人になった気分だ。楽浪の古い都を見ると悲しくなるから。

楽浪の国つ御神のうらさびて 荒れたる都見れば悲しも 万33
*楽浪の国の神々がうら寂びて荒れた都を見ると悲しくなる。

【似顔絵サロン】高市 黒人 たけち の くろひと ? - ? 持統・文武両朝の官人・歌人。『万葉集』に短歌18首あり。














〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=1

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