万葉集巻34‐35番歌(白波の浜松が枝の手向けくさ)~アルケーを知りたい(1249)

▼34番は690年に持統天皇が紀伊の国に行幸したとき、川島皇子が詠んだ歌。35番は天智天皇の娘、草壁皇子の妃、のちの元明天皇である阿閉皇女(あへのひめみこ)が詠んだ歌。

 紀伊の国に幸す時に、川島皇子の作らす歌 或いは「山上臣憶良作る」といふ
白波の浜松が枝の手向けくさ 幾代までにか年の経ぬらむ 一には「年は経にけむ」といふ 万34
*白波が寄せる浜松の枝の手向けはどれくらい年が経たものだろうか。
 日本紀には「朱鳥の四年庚寅の秋の九月に、天皇紀伊の国に幸す」といふ。

 背の山を超ゆる時に、阿閉皇女の作らす歌
これやこの大和にしては我が恋ふる 紀伊道ありといふ名に負ふ背の山 万35
*これが大和にあって私が見たいと願っていた紀伊の道にあるという、その名を背負う背の山なのですね。

【似顔絵サロン】川島皇子 かわしまのみこ 657年 - 691年 天智天皇の第二皇子。天皇の詔に一同が結束して随いますと誓う「吉野の盟約」に参加したひとり。草壁皇子→大津皇子→高市皇子に次ぐ序列。温厚でゆったりとした人物。














元明天皇 げんめいてんのう 661年 - 721年 天智天皇の第四皇女。第43代天皇。草壁皇子の妻、文武天皇の母親。藤原不比等を重用。















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=1

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