万葉集巻52‐53番歌(御井の清水)~アルケーを知りたい(1253)

1番歌、雄略天皇の「籠もよ み籠持ち」から今回の53番歌「藤原の大宮仕生れ付くや」までを初期バージョンの万葉集=原万葉集という。伊藤博訳注『新版 万葉集一』にはそのように解説がある。万葉集は4516番歌まである。それだけ数があると全体像を捉えにくいけど53首だと全体の雰囲気はつかめる気がする。
▼印象的なフレーズと歌をピックアップするのも53首だとすぐだ。
2番 うまし国ぞ 蜻蛉島 大和の国は
5番 ますらをと 思へる我れも
8番 潮もかなひぬ 今は漕ぎ出でな
14番 香具山は耳成山と闘ひし時
16番 そこし恨めし 秋山我れは
25番 隈もいちず 思ひつつぞ来し その山道を
27番 淑き人のよしとよく見てよしと言ひし吉野よく見よ良き人よく見
28番 春過ぎて夏来るらし白栲の衣干したり天の香具山
31番 楽浪の志賀の大わだ淀むとも
34番 白波の浜松が枝の手向けくさ
35番 これやこの大和にしては我が恋ふる
48番 東の野にはかぎろひ立つ見えてかへり見すれば月かたぶきぬ
49番 馬並めて

 藤原の宮の御井の歌
やすみしし 我ご大君 
高照らす 日の御子 
荒栲の 藤井が原に 
大御門 始めたまひて 
埴安の 堤の上に 
あり立たし 見したまへば 
大和の 青香具山は 
日の経の 大き御門に 
春山と 茂みさび立てり 
畝傍の この瑞山は 
日の緯の 大き御門に 
瑞山と 山さびいます 
耳成の 青菅山は 
背面の 大き御門に 
よろしなへ 神さび立てり 
名ぐはし 吉野の山は 
影面の 大き御門ゆ 
雲居にぞ 遠くありける 
高知るや 天の御蔭 
天知るや 日の御蔭の
水こそば とこしへにあらめ 
御井の清水 万52
*春山は茂みさび、瑞山は山さび、青菅山は神さびている地に大宮を作られた大君。その井戸で湧く清水はとこしへにあらめ。

 短歌
藤原の大宮仕生れ付くや 娘子がともは羨しきろかも 万53
*藤原の都の大宮で仕えるように生まれついた娘子たち。うらやましいなあ。
 右の歌は、作者未詳。

【似顔絵サロン】持統天皇 じとうてんのう 645年 - 703年 第41代天皇。中大兄皇子(天智天皇)の娘。大海人皇子(天武天皇)の皇后。草壁皇子の母。軽皇子(文武天皇)の祖母。














〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=1

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