万葉集巻57‐58、61番歌(引馬野ににほふ榛原)~アルケーを知りたい(1255)

▼702年に57歳の持統上皇が三河の国(愛知県)に行幸したとき歌。57番の引馬野(ひくまの)愛知県豊川市にある昔の地名。58番の安礼の崎(あれのさき)、61番の円方(まとかた)も土地の名前。

 二年壬寅に、太上天皇、三河の国に幸す時の歌
引馬野ににほふ榛原入り乱れ 衣にほはせ旅のしるしに 万57
 右の一首は長忌寸意吉麻呂
*引馬野で色づいている榛(はり。染料が採れる植物)の原に入って衣を草の色に染めましょう、旅の記念に

いづくにか舟泊てすらむ安礼の崎 漕ぎ廻み行きし棚なし小舟 万58
 右の一首は高市黒人。
*安礼の崎のどのあたりで舟を泊めるのでしょうか。漕ぎ進んで行った棚なしの小舟は。

 舎人娘子、従駕にして作る歌
ますらをのさつ矢手挟み立ち向ひ 射る円方は見るにさやけし 万61
*男衆が矢を持って的に向かう円方(まとかた)の浜は、見るからにすがすがしい。

【似顔絵サロン】長忌寸意吉麻呂 ながのいみきおきまろ ? - ? 持統・文武両朝の官人・歌人。渡来系。万葉集に14作品あり。中に宴席のとき即興で作ったオモシロ歌もある。一二(ひとふた)の目のみにあらず五つ六つ三つ四つさへあり双六(すぐろく)のさえ 万3827















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=1

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