万葉集巻81-83番歌(山辺の御井を見がてり)~アルケーを知りたい(1260)

▼今回の歌は旅で出会った風景や心情のスケッチのような作品。作者の長田王は当時の朝廷にいた「風流侍従」のひとり。

 和銅五年壬子の夏の四月に、長田王を伊勢の斎宮に遣はす時に、山辺の御井にして作る歌
山辺の御井を見がてり神風の 伊勢娘子ども相見つるかも 万81
*山辺の御井を見るついでに伊勢神宮で巫女の皆さんとも出会えました。

うらさぶる心さまねしひさかたの 天のしぐれの流れ合ふ見れば 万82
*うら寂しい気持ちになる。空で時雨の粒が流れては合流するのを見ると。

海の底沖つ白波竜田山 いつか越えなむ妹があたり見む 万83
*海のはるか沖で白波がたつ田山なんだけど、竜田山を越えるのはいつ頃だろう。山を越えて妻がいる方向を眺めたい。
 右の二首は、今案ふるに、御井にして作るところに似ず。
けだし、その時に誦む古歌か。

【似顔絵サロン】長田王 ながたおう ? - 737天平9年7月20日 奈良時代の皇族。聖武朝初期の風流侍従。万葉集の歌人。














〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=1

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