万葉集巻第三242‐244番歌(三船の山に居る雲の)~アルケーを知りたい(1272)

▼679年、吉野の誓い。皇位継承の序列が草壁皇子、大津皇子、高市皇子となる。
686年、天武天皇逝去、大津皇子逝去。689年、草壁皇子逝去。696年、高市皇子逝去。持統天皇が群臣を集め次の皇太子を誰にするべきか議論の場を設ける。ここで発言しようとした弓削皇子を葛野王が抑え、持統天皇の孫である軽皇子を推挙。これで決着し、軽皇子は文武天皇となり、持統天皇は後見を務める太上天皇になる。

 弓削皇子、吉野に遊す時の御歌一首
滝の上の三船の山に居る雲の 常にあらむと我が思はなくに 万242
*御船山の上に出ている雲が常にそのようにあると、私は思っているわけではない。

 春日王が和へ奉る歌一首
大君は千年に座さむ白雲も 三船の山に絶ゆる日あらめや 万243
*大君はこれからも長く長くそのようにあることでしょう。白雲が三船山に絶える日がないように。

 或る本の歌一首
み吉野の三船の山に立つ雲の 常にあらむと我が思はなくに 万244
*吉野の三船山にかかる雲のように自分がいつまでも変わらないと思っているわけではない。
 右の一首は、柿本朝臣人麻呂が歌集に出づ。

【似顔絵サロン】弓削皇子 ゆげのみこ 673年 - 699年 天武天皇の皇子の一人。高市皇子薨去後の皇嗣選定会議で発言しようとして葛野王に叱責され口を閉じる。














葛野王 かどののおう 669年 - 706年 弘文天皇(大友皇子)の第一皇子。















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=3

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