万葉集巻第三245‐248番歌(まこと尊くくすしくも)~アルケーを知りたい(1273)

長田王が九州に出張に出て、熊本の八代市や鹿児島の阿久根市の海や島を見たときの歌。245番のタイトルには「水島に渡る」とあるけれどGoogleマップで見ると今は陸地と一体になっている模様。海を臨んで水島龍神社がある。

 長田王、筑紫に遣はさえて、水島に渡る時の歌二首
聞きしごとまこと尊くくすしくも 神さびをるかこれの水島 万245
*聞いていたとおり誠に尊く不思議なほどに神々しい。この水島は。

葦北の野坂の浦ゆ船出して 水島に行かむ波立つなゆめ 万246
*葦北の野坂の浦から船を出して水島に参りましょう。波よ、立ってくれるな!
 石川大夫が和ふる歌一首 名は欠けたり

沖つ波辺波立つとも我が背子が 御船の泊り波立ためやも 万247
*沖の波や浜辺の波が立とうとも、わが主人の御船が泊まるところに波は立ちません。
 右は、今案ふるに、従四位下石川宮麻呂朝臣、慶雲の年の中に大弐に任けらゆ。
また、正五位下石川朝臣君子、神亀の年の中に少弐に任けらゆ。
両人のいづれがこの歌を作るかを知らず。

 また、長田王が作る歌一首
隼人の薩摩の瀬戸を雲居なす 遠くも我れは今日見つるかも 万248
*隼人がいる薩摩の瀬戸を今日見るたぞ。はるかに遠い所だけれども。

【似顔絵サロン】長田王 ながたおう ? - 737年 奈良時代の皇族・歌人。聖武朝初期の風流侍従のひとり。














石川 宮麻呂 いしかわ の みやまろ 655年 - 713年 飛鳥時代~奈良時代の公卿。














石川 君子 いしかわ の きみこ 700年? - 750年? 奈良時代の貴族・歌人。聖武天皇に仕えた風流侍従のひとり。














〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=3

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