万葉集巻第三287‐288番歌(ここにして家やもいづち)~アルケーを知りたい(1279)

▼288番の作者、穂積老はドラマチックな人生を送った人。大伴旅人の副将として朱雀大路を行進する華々しい経験もあれば、元正天皇を非難して斬刑になりかけたところをギリ助かって佐渡島への流刑される経験もあれば、それで終わらず、18年後に大赦で朝廷に復帰する。人生七転び八起き、という人。

 志賀に幸す時に、石上卿が作る歌一首 名は欠けたり
ここにして家やもいづち白雲の たなびく山を越えて来にけり 万287
*ここからだと我が家はどちらの方向なのだろうか。白雲がたなびく山を越えてここまでやって来た。

 穂積朝臣老が歌一首
我が命しま幸くあらばまた見む 志賀の大津に寄する白波 万288
*私の命運が幸いにも続くようならば、志賀の大津に寄せる白波をまた見たいものだな。
 右は、今案ふるに、幸行の年月を審らかにせず。

【似顔絵サロン】穂積 老 ほづみ の おゆ 690年? - 749年 飛鳥時代~奈良時代の貴族・歌人。722年、佐渡島へ流罪、後に大赦。














〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=3

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