万葉集巻第三291‐295番歌(真木の葉のしなふ背の山)~アルケーを知りたい(1281)

▼今回は小田事と角麻呂いう共に個人データが少ない人物の歌。参考にしている角川ソフィア文庫の伊藤博の注釈によると、角麻呂の四首の歌は、起承転結の並びになっているそうです。

 小田事が背の山の歌一首
真木の葉のしなふ背の山しのはずて 我が越え行けば木の葉知りけむ 万291
*背の山に生える木々の豊かな葉を、味わう間もなく通り過ぎたのだけれど、木の葉は私の気持ちを分かってくれているよね。

 角麻呂が歌四首
ひさかたの天の探女が岩船の 泊てし高津はあせにけるかも 万292
*昔、天女の岩船が停泊したという高津の海は、今は浅くなったものですね。

潮干の御津の海女のくぐつ持ち 玉藻刈るらむいざ行きて見む 万293
*御津の海女たちが籠を抱えて藻を刈りに行くそうだ。さっそく行って見物しましょう。

風をいたみ沖つ白波高からし 海人の釣舟浜に帰りぬ 万294
*風が激しくて沖の白波が高くなっています。海人たちの釣り船も浜に戻ってきています。

住吉の野木の松原遠つ神 我が大君の幸しところ 万295
*住吉の野木の松原は、昔は神々が、いまは我らの大君が行幸する場所です。

【似顔絵サロン】角 麻呂 つののまろ ? - ? 奈良時代の貴族。陰陽師。 















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=3

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