万葉集巻第三319‐321番歌(富士の嶺に降り置く雪は)~アルケーを知りたい(1288)

▼富士の高嶺はいくら見ても見飽きることがない、と詠う歌。詠み手が誰かは分からない。321番の後書きには高橋虫麻呂歌集にあると書いてある。しかし同じ万葉集の目録の方には笠金村歌集にあると書いてある。どっちかい。
▼320番では、富士山の雪は六月十五日に消えて、その夜にまた降るのだという。なぜ6月15日なのか、分からんが、面白い。万葉の時代から人々が富士山を大事に思っていたのが伝わる3首。

 富士の山を詠む歌一首 幷せて短歌
なまよみの 甲斐の国 
うち寄する 駿河の国と 
こちごちの 国のみ中ゆ 
出で立てる 富士の高嶺は 
天雲も い行きはばかり 
飛ぶ鳥も 飛びも上らず 
燃ゆる火を 雪もち消ち 
降る雪を 火もち消ちつつ 
言ひも得ず 名付けも知らず 
くすしくも います神かも 
せの海と 名付けてあるも 
その山の 水のたぎちぞ 
日の本の 大和の国の 
鎮めとも います神かも 
宝とも なれる山かも 
駿河なる 富士の高嶺は 
見れど飽かぬかも 万319
*大和の国を鎮める神のいます駿河の富士は見ても見ても見飽きることがありません。

 反歌
富士の嶺に降り置く雪は 六月の十五日に消ぬればその夜降りけり 万320
*富士の嶺に降り積もった雪は6月15日に消えると、またその夜、雪が降るという。

富士の嶺を高み畏み天雲も い行きはばかりたなびくものを 万321
*富士の嶺の高さを畏れて天の雲も通り過ぎるのをはばかって、上空でたなびいているのでしょう。
 右の一首は、高橋連虫麻呂が歌の中に出づ。類をもちてここに載す。

【似顔絵サロン】高橋 虫麻呂 たかはし の むしまろ ? - ? 奈良時代の歌人。物部氏の一族。















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=3

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