万葉集巻第三364‐367番歌(ますらをの弓末振り起し射つる矢を)~アルケーを知りたい(1292)

▼364番は、笠金村が塩津山を越えるとき、木に矢が深々と刺さっていたのを見て詠んだ歌。どうして山の木に矢が刺さったままなのか、今となっては分からない。当時の弓の強さは今と比べると、どうだろう。狩猟とか戦闘に使ってたので、強力そうな気がする。そんな弓を弓末振り起し力強く射ったのだから、後々、語り継ぎたくなるほど刺さったのだろう。

 笠朝臣金村、塩津山にして作る歌二首
ますらをの弓末振り起し射つる矢を 後見む人は語り継ぐがね 万364
*ますらをが力強く射った矢をごらんなさい。後からこの矢を見る人は語り継ぐと良い。

塩津山打ち越え行けば我が乗れる 馬ぞつまづく家恋ふらしも 万365
*塩津山を越えていると私が乗っている馬が躓いた。これは家の者たちが私を恋しがっている印だな。

 角鹿の津にして船に乗る時に、笠朝臣金村が作る歌一首 幷せて短歌
越の海の 角鹿の浜ゆ 
大船に 真楫貫き下ろし 
鯨魚取り 海道に出でて 
喘ぎすつ 我が漕ぎ行けば 
ますらをの 手結が浦に 
海人娘子 塩焼く煙
草枕 旅にしあれば 
ひとりして 見る験なみ 
海神の 手に巻かしたる 
玉たすき 懸けて偲ひつ 
大和島根を 万366
*ますらをの手結が浦では海人や娘子が塩を焼く煙が見える。
一人で眺めながら故郷の大和を思い出している。

 反歌
越の海の手結が浦を旅にして 見れば羨しみ大和偲ひつ 万367
*駿河湾の手結が浦を旅している。素晴らしい風景を見るにつけ、故郷の大和が思い出される。

【似顔絵サロン】笠 金村 かさのかなむら ? - ? 奈良時代の歌人。姓は朝臣。山部赤人と並ぶ歌人。















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=3

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