万葉集巻第三371、375番歌(意宇の海の川原の千鳥)~アルケーを知りたい(1294)
▼371番は出雲守として島根県に赴任している門部王が、千鳥の鳴き声を聞いて、故郷の佐保川を思い出す歌。372番は湯原王が吉野の菜摘川で鴨の鳴き声を聞いて作った歌。両方とも、川と鳥を素材にしながらも、味わいは異なる。それが不思議。
出雲守門部王、京を思ふ歌一首 後に大原真人の氏を賜はる
意宇の海の川原の千鳥汝が鳴けば 我が佐保川の思ほゆらくに 万371
*島根の意宇の海に流れる川原の千鳥よ、お前が鳴く声を聞くと、我が故郷の佐保川が思い出されてならない。
湯原王、吉野にして作る歌一首
吉野にある菜摘の川の川淀に 鴨ぞ鳴くなる山蔭にして 万375
*吉野にある菜摘川の川淀で鴨が鳴いている。ちょうど山の蔭だから。
【似顔絵サロン】門部王 かどべおう ? - ? 奈良時代の皇族。天武天皇の孫。高市皇子の子。
湯原王 ゆはらおおきみ ? - ? 奈良時代の皇族・歌人。天智天皇の孫。志貴皇子の子。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=3
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