万葉集巻第三382‐383番歌(筑波嶺を外のみ見つつありかねて)~アルケーを知りたい(1295)

▼今回は、鶏、雪を組合せて筑波山を詠った歌。詠み手は丹比国人。季節は冬、筑波山を見たくて雪でぬかるむ道を歩いた、と詠う。

 筑波の岳に登りて、丹比真人国人が作る歌一首 幷せて短歌
鶏が鳴く 東の国に 
高山は さはにあれども 
二神の 貴き山の 
並み立ちの 見が欲し山と
神代より 人の言ひ継ぎ 
国見する 筑波の山を 
冬こもり 時じき時と 
見ずて行かば 増して悲しみ 
雪消する 山道すらを 
なづみぞ我が来る 万382
*男山と女山が並び立つ筑波の山を見ずにはいられません。だから、雪でぬかるむ山道を苦労しながら歩いてきました。

 反歌
筑波嶺を外のみ見つつありかねて 雪消の道をなづみ来るかも 万383
*筑波の嶺を遠くから眺めているだけでは飽き足らないので、雪の泥道を足を取られながら嶺までやってきました。

【似顔絵サロン】丹比国人 たぢひのくにひと ? - ? 奈良時代の官吏。出雲守、播磨守、大宰少弐を歴任。757年、橘奈良麻呂の乱に連座した罪で伊豆に配流。















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=3

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