万葉集巻第三417‐419番歌(岩戸破る手力もがも)~アルケーを知りたい(1298)

▼今回は、大宰師だった河内王の逝去を悲しむ、妻の手持女王の歌三首。み心に適うはずもないのに豊前の鏡山を宮に定めた、と切り出す417番。鏡山に岩戸を立てて籠ったまま出ていらっしゃらない、という418番。腕力のない女である私は岩戸を開ける力もない、と嘆く419番。三首で一つのストーリーになっている歌。

 河内王を豊前の国の鏡の山に葬る時に、手持女王が作る歌三首
大君の和魂あへや豊国の 鏡の山を宮と定むる 万417
*大君のお心に適ったとでもいうのでしょうか。豊国の鏡山を宮となさったのは。

豊国の鏡の山の岩戸立て 隠りにけらし待てど来まさぬ 万418
*豊国の鏡山に岩戸を立てて中にお籠りになりました。いくらお待ちしてもお出でになりませぬ。

岩戸破る手力もがも手弱き 女にしあればすべの知らなく 万419
*岩戸を引き開ける腕力もない女ですので、再びお目にかかりたくとも方法がありません。

【似顔絵サロン】河内王 かわちのおおきみ ? - 694年 飛鳥時代の皇族。筑紫大宰帥を務めた。















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=3

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