万葉集巻第六1009‐1010番歌(橘は実さへ花さへその葉さへ)~アルケーを知りたい(1313)

▼1009番は聖武天皇が葛城王に橘の名前を贈る時に天皇が詠んだ歌。1010番は葛城王=橘諸兄=の息子である奈良麻呂の歌。

 冬の十一月に、左大弁葛城王等、姓橘の氏を賜はる時の御製歌一首
橘は実さへ花さへその葉さへ 枝に霜降れどいや常葉の木 万1009
*橘は、実も花も葉も目出度い。枝に霜が下りる季節もエバーグリーンの樹です。
 右は、冬の十一月の九日に、従三位葛城王・従四位上佐為王等、皇族の高き名を辞び、外家の橘の姓を賜はること已訖りぬ。
その時に、太上天皇・皇后、ともに皇后の宮に在して、肆宴をなし、すなはち橋を賀く歌を御製らし、幷せて御酒を宿禰等に賜ふ。
或いは「この歌一首は太上天皇の御製。ただし、天皇・皇后の御歌おのおのも一首あり」といふ。
その歌遺せ落ちて、いまだ探ね求むること得ず。
今案内に検すに、「八年の十一月の九日に、葛城王等、橘宿禰の姓を願ひて表を上る。
十七日をもちて、表の乞によりて橘宿禰を賜ふ」と。

 橘宿禰奈良麻呂、詔に応ふる歌一首
奥山の真木の葉しのぎ降る雪の 降りは増すとも地に落ちめやも 万1010
*奥山の真木の葉にたくさんの雪が降り積もっても木が古くなっても、橘の実が地に落ちることはございません。

【似顔絵サロン】葛城王こと橘諸兄 たちばな の もろえ 684年 - 757年 奈良時代の皇族・公卿。吉備真備と玄昉が政治を補佐。














橘 奈良麻呂 たちばな の ならまろ 721年 - 757年 奈良時代の公卿。橘諸兄の子。橘奈良麻呂の乱で獄死。















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=6

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