万葉集巻第六1024-1028番歌(長門なる沖つ借島)~アルケーを知りたい(1319)

▼宴での贈答歌、宴で取り上げられた過去の歌。談話の流れに応じてこういう歌があったね、と取り出されたのだろうか。歌のコレクションがあって、時に応じて取り出せる仕組みというか記憶力がすごいわ。

 秋の八月の二十日に、右大臣橘家にして宴する歌四首
長門なる沖つ借島奥まへて 我が思ふ君は千年にもがも 万1024
 右の一首は長門守巨會倍対馬朝臣。
*長門にある沖の借島のように私にとって大切な存在である貴方様は千年も長生きしてください。

奥まへて我れを思へる我が背子は 千年五百年ありこせぬかも 万1025
 右の一首は右大臣が和ふる歌。
*私のことをの奥底からそのように思ってくださる貴方も、五百年も千年も長生きして欲しいものです。

ももしきの大宮人は今日もかも 暇をなみと里に行かずあらむ 万1026
*大宮に努める方々は今日も忙しい隙がないと言って自分の故郷に戻らないのでしょう。
 右の一首は、右大臣伝へて「故豊島采女が歌」といふ。

橘の本に道踏む八街に 物をぞ思ふ人に知らえず 万1027
 右の一首は、右大弁高橋安麻呂卿語りて「故豊島采女が作なり」といふ。
ただし、或本には「三方沙弥、妻園臣に恋ひて作る歌なり」といふ。
しからばすなはち、豊島采女は当時当所にしてこの歌を口吟へるか。
*橘の木が植わった八方に分かれる道を歩きながら、あれやこれやと物を思っている。でもその思いは知ってもらいたい人には届かない。

【似顔絵サロン】巨曾倍 対馬 こそべ の つしま ? - ? 奈良時代の貴族。長門守・外従五位下。















橘 諸兄 たちばな の もろえ 684年 - 757年 奈良時代の皇族・公卿。















高橋 安麻呂 たかはし の やすまろ ? - ? 奈良時代の貴族。















三方 沙弥 みかたのさみ ? - ? 奈良時代の貴族・学者。















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=6

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