万葉集巻第三441‐442番歌(大殯の時にはあらねど)~アルケーを知りたい(1300)
▼今回は「長屋王の変」の長屋王と息子・膳部王の死を悲しむ歌。441番では、長屋王が死に追い込まれた理不尽さを娘の倉橋部女王が「時にはあらねど雲隠ります」と詠っています。442番は未詳の作者が、この世が空しいものであることを人に思い出させるために「照る月は満ち欠け」すると詠っています。
神亀六年己巳に、左大臣長屋王、死を賜はりし後に、倉橋部女王が作る歌一首
大君の命畏み大殯の 時にはあらねど雲隠ります 万441
*大君のご命令を畏れ多くも賜り、わが主人はその時ではないけれどもこの世を去り雲に隠れたのでございます。
膳部王を悲傷しぶる歌一首
世間は空しきものとあらむとぞ この照る月は満ち欠けしける 万442
*世の中は空しいものだと示すように、照る月は満ち欠けしている。
右の一首は、作者未詳。
【似顔絵サロン】長屋王 ながやおう 676年 - 729年 奈良時代の皇族。高市皇子の長男。長屋王の変。
膳部王 かしわでのおほきみ ? - 729年 奈良時代の皇族。長屋王の子。親子で縊死。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集一』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=3
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