万葉集巻第六988‐991番歌(焼太刀のかど打ち放ち)~アルケーを知りたい(1310)

▼989番は、日本刀の「かど」を打って清めた目出度い酒を賞味する歌。どんな所作か、知りたくなる。その酒はどんな味わいか、味わいたくなる。

 市原王、宴にして父安貴王を禱く歌一首
春草は後はうつろふ巌なす 常盤にいませ貴き我が君 万988
*春の草は時が過ぎると枯れてしまいます。父上におかれましては永久にお変わりなくあってください。

 湯原王が打酒の歌一首
焼太刀のかど打ち放ちますらをの 寿く豊御酒に我れ酔ひにけり 万989
*焼いて鍛えた太刀のかどをますらをが打って清めた豊御酒に私はすっかり酔ってしまいました。

 紀朝臣鹿人が跡見の茂岡の松の樹の歌一首
茂岡に神さび立ちて栄えたる 千代松の木の年の知らなく 万990
*茂岡に神さびて神々しく立っている千代松の年齢はどれほどか分かりません。

 同じき鹿人、泊瀬の川辺に至りて作る歌一首
石走りたぎち流るる泊瀬川 絶ゆることなくまたも来て見む 万991
*岩に当たって砕けながら流れる泊瀬川よ、これから絶えることなくまた見に来ます。

【似顔絵サロン】市原王 いちはらおう 719年 - ? 奈良時代の皇族。安貴王の子。大伴家持と交流。














安貴王 あきおう 690年 - ? 奈良時代の皇族。息子が市原王。















湯原王 ゆはらおおきみ ? - ? 奈良時代の皇族・歌人。天智天皇の孫。志貴皇子の子。















紀 鹿人 き の かひと ? - ? 奈良時代の官人・歌人。















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=6

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