万葉集巻第七1256‐1263番歌(暁と夜烏鳴けど)~アルケーを知りたい(1356)
▼1258番は吉田兼好が言いそうなことだなと思ふ。1263番は音を聞いて静けさを知る、みたいな感じになる。この二つの間の歌たちはつっこみどころがあって楽しめる。
黙あらじと言のなぐさに言ふことを 聞き知れらくは悪しくはありけり 万1258
*沈黙が嫌なだけで何か喋っていること、そんな人の話を耳にするのは面白くない気分です。
佐伯山卯の花持ちし愛しきが 手をし取りてば花は散るとも 万1259
*花束を持つあの可愛い娘子の手を握りたい。花が散っても。
時ならぬ斑の衣着欲しきか 島の榛原時にあらねども 万1260
*時期ではないけれど斑模様の服を着たくなりました。染料の元になる「はしばみ」が実をつける時期ではないけれど。
山守が里へ通ひし山道ぞ 茂くなりける忘れけらしも 万1261
*山守が里へ通ったという山道なんだけど、草が茂っているところを見ると忘れられた道なのかな。
あしひきの山椿咲く八つ峰越え 鹿待つ君が斎ひ妻かも 万1262
*山椿が咲く八峰を越えて鹿狩りに励む貴方様のお帰りを家でお待ちする妻でございます、私は。
暁と夜烏鳴けどこの森の 木末の上はいまだ静けし 万1263
*朝だよーと夜鳥が鳴いている。しかしこの森の木の梢はまだしんとしています。
【似顔絵サロン】同時代の乱、藤原広嗣の乱の関係者:安倍 黒麻呂 あべ の くろまろ ? - ? 奈良時代中期の官人。阿倍虫麻呂と同族の武人。740年、藤原広嗣の乱を平定する志願兵。潜伏中の広嗣を捕縛。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7
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