万葉集巻第七1264‐1269番歌(西の市にただひとり)~アルケーを知りたい(1357)
▼今回の6首の歌は、教訓、共感同感、心惹かれるのばかり。今も昔も同じかよ。
西の市にただひとり出でて目並べず 買ひてし絹の商じこりかも 万1264
*西の市に独りで出かけて他の商品と比べもせずに買った絹。こいつは買いそこないでしたよ。
今年行く新島守が麻衣 肩のまよひは誰か取り見む 万1265
*今年派遣される新島守が着用する麻衣。肩がほつれたら誰が繕うのでしょうね。
大船を荒海に漕ぎ出や船たけ 我が見し子らがまみはしるしも 万1266
*大型船を荒れている海に漕ぎ出しているところだけど、私が見た娘子の目もとが目に浮かびます。
就所発思 旋頭歌
ももしきの大宮人の踏みし跡ところ 沖つ波来寄らずありせば失せずあらましを 万1267
右の十七首は、古歌集に出づ。
*大宮人が砂浜に残した足跡。沖から波が寄せて来なければずっと消えないのだけれど。
子らが手を巻向山は常にあれど 過ぎにし人に行きまかめやも 万1268
*巻向山はいつもそこにあるけれど、故人のところへは尋ねて行くことはできません。
巻向の山辺響みて行く水の 水沫のごとし世の人我れは 万1269
右の二首は、柿本朝臣人麻呂が歌集に出づ。
*巻向山で音を響かせて流れる川の水。その水の沫のようです、現世にいる私は。
【似顔絵サロン】同時代の乱、壬申の乱(672年に起きた日本最大の内乱。天智天皇の後継をめぐって天智天皇の弟・大海人皇子と天智天皇の息子・大友皇子の争い)の関係者:村国 男依 むらくに の おより ? - 676 飛鳥時代の人物。大海人皇子側。近江国方面の諸将の筆頭として連戦連勝し、最大の功を立てた。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7
コメント
コメントを投稿