万葉集巻第七1276‐1281番歌(君がため手力疲れ)~アルケーを知りたい(1359)

▼今回の6首はいずれも人との関係を詠った歌。1281は、糸から布を織ってどんな色に染めようか、という内容。万葉の人は自分で布を織っていたんだ、それを染めていたんだ、と改めて思い知る。布屋とか染屋もあっただろうけど、自分でやれていたのだ。すごい。

池の辺の小槻の下の小竹な刈りそね それをだに君が形見に見つつ偲はむ 万1276
*池の岸辺の小槻の下の小竹は刈ら取らないでください。なぜなら、わが君の形見として見て偲びたいから。

天にある日売菅原の草な刈りそね 蜷の腸か黒き髪にあくたし付くも 万1277
*日売菅原の草を刈らないでください。黒い髪にホコリが付くから。

夏蔭の妻屋の下に衣裁つ我妹 うら設けて我がため裁たばやや大に裁て 万1278
*夏の日陰、妻屋で布を裁断しているわが妻よ、私のために大きめに裁断してくれ。

梓弓引津の辺にあるなのりその花 摘むまでに逢はずあらめやもなのりその花 万1279
*引津の辺りにあるなのりその花。誰か摘むまでに逢わすにおくものか、なのりその花。

うちひさす宮道を行くに我が裳は破れぬ 玉の緒の思ひ乱れて家にあらましを 万1280
*宮への道を歩いていると服の裾が破れてしまいました。こんなことなら大人しく家に居て思い乱れているほうが良かった。

君がため手力疲れ織れる衣ぞ 春さらばいかなる色に摺りてばよけむ 万1281
*貴方様のために一所懸命に織った布です。春になったらどんな色で染めましょうか。

【似顔絵サロン】同時代の乱、672年の壬申の乱の関係者:和珥部 君手 わにべ の きみて ? - 697 飛鳥時代の人物。壬申の乱で、中大兄皇子の命を受け、村国男依、身毛広と共に美濃に先行、当地の多品治と連携し兵3千で不破道を塞いだ。















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7

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