万葉集巻第七1288‐1294番歌(この岡に草刈るわらは)~アルケーを知りたい(1361)

▼万葉の人びとの暮らしをスナップショットした和歌。1288は手に持った葦の葉、1289は猟をする男の様子2枚、1290はなのりその花、1291は草原で草刈りをする子どもたち、1292は猟の出で立ちでポーズをとる男、1293は川柳、1294は山の上に昇った月。動画というより静止画の印象。

港の葦の末葉を誰れか手折りし 我が背子が振る手を見むと我れぞ手折りし 万1288
*港の葦の末葉は誰が手折ったのでしょう。私の夫が手を振るのを見たくて私が手折ったのです。

垣越しに犬呼び越して鳥猟する君 青山の茂き山辺に馬休め君 万1289
*垣根越しに犬を呼んで飛び越えさせて鳥を狩る貴方様。木がよく茂った山辺で馬を休める貴方様。

海の底沖つ玉藻のなのりその花 妹と我れとここにしありとなのりその花 万1290
*海の沖で玉藻になっていなのりその花。妻と私がここに一緒にいたことを思い出させてくれる「名のりそ」の花。

この岡に草刈るわらはなしか刈りそね ありつつ君が来まさむ御馬草にせむ 万1291
*この岡で草を刈っている子どもらよ、ここは刈っちゃダメだよ。後からご主人様がお馬に食べさせるからそのままにしておくんだよ

江林に臥せる鹿やも求むるによき 白栲の袖巻き上げて鹿待つ我が背 万1292
*江林で伏せている鹿を探すのに良い場所なのでしょうか、ここは。白栲の袖を巻き上げて鹿を待ち伏せする我が夫よ。

霰降り遠江の吾跡川楊 刈れどもまたも生ふといふ吾跡川楊 万1293
*遠江の吾跡川の楊は、刈ってもまた生えると言います。吾跡川の楊は。

朝月の日向の山に月立てり見ゆ 遠妻を待ちたる人し見つつ偲はむ 万1294
 右の二十三首は、柿本朝臣人麻呂が歌集に出づ。
*日向の山に月が昇るのが見えます。旅人は月を見て遠く離れた妻を偲んでいることでしょう。

【似顔絵サロン】同時代の乱、672年の壬申の乱の関係者:書 根麻呂 ふみ の ねまろ ? - 707 飛鳥時代の人物。子が文馬養。壬申の乱で大海人皇子方のオリジナルメンバー。将として近江方面の将として戦功を上げる。















〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7

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