万葉集巻第七1343‐1348番歌(言痛くはかもかもせむを)~アルケーを知りたい(1369)
▼万葉の時代は「何でもする」意志の表現を「かもかもせむ」と言うらしい。なんか、かわいい。今回の歌は6首、いずれも植物で喩えたものばかり。
言痛くはかもかもせむを岩代の 野辺の下草我れし刈りてば 一には「紅の現し心や妹に逢はずあらむ」といふ 万1343
*人の評判が気になるなら何でもしますよ。岩代の野原の下草を刈り取った後ならば。
真鳥棲む雲梯の杜の菅の根を 衣にかき付け着せむ子もがも 万1344
*鷲が住み着いている雲梯の杜の菅の根を衣に描いてくれる人がいたら良いのに。
常ならぬ人国山の秋津野の かきつはたをし夢に見しかも 万1345
*人国山の秋津野に咲いたただならぬ美しさのカキツバタを夢で見ました。
をみなへし佐紀浜の辺の真葛原 いつかも繰りて我が衣に着む 万1346
*佐紀浜あたりの真葛原に生えているオミナエシの花。いつごろ摘み取って私の衣に染めようか。
君に似る草と見しより我が標めし 野山の浅茅人な刈りそね 万1347
*貴方様に似合う草と思ったときから私がしめ縄で囲っておいた浅茅です。他の人が刈ってはダメです。
三島江の玉江の薦を標めしより 己がとぞ思ふいまだ刈らねど 万1348
*三島江の玉江の蔦を囲っておいて自分のものにします。まだ刈っていませんが。
【似顔絵サロン】同時代の乱、672年の壬申の乱の関係者:胆香瓦 安倍 いかご の あへ ? - ? 飛鳥時代の人物。壬申の乱では高市皇子に従って民大火、赤染徳足、大蔵広隅、坂上国麻呂、古市黒麻呂、竹田大徳らと都を脱した。村国男依、書根麻呂、和珥部君手と共に大和国方面増援軍の将の一人。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7
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