万葉集巻第七1349‐1355番歌(かくしてやなほや老いなむ)~アルケーを知りたい(1370)
▼1349は、雪降る大荒木野の小竹を見たことはないけれど「かくしてやなほや老いなむ」に共感。老いを詠った歌には片っ端から共感するんだけど、1349もそのひとつで、よき。1352の「ゆたにたゆたに」というふらふらしている様子の言い方も、よき。「辺にも沖にも寄りかつましじ」という中途半端な状態も、よき。
かくしてやなほや老いなむみ雪降る 大荒木野の小竹にあらなくに 万1349
*こんなふうにして老いていくのだろうか。雪で覆われて白くなる大荒木野の小竹、というわけでもないのに。
近江のや八橋の小竹を矢はがずて まことありえむや恋しきものを 万1350
*近江の八橋の小竹を矢にしないでおれるものか。こんなに気に入っているのに。
月草に衣は摺らむ朝露に 濡れての後はうつろひぬとも 万1351
*月草の染料で衣を染めましょう。朝露に濡れた後は色が浅くなるとしても。
我が心ゆたにたゆたに浮蓴 辺にも沖にも寄りかつましじ 万1352
*私の気持ちはゆらゆらと漂う水草のよう。岸辺にも沖にも寄っていこうとしません。
稲に寄す
石上布留の早稙田を秀でずとも 繩だに延よ守りつつ居らむ 万1353
*石上布留の早稙田を植えた田んぼですから繩を張っておいてください、稲の成長を見守りますから。
木に寄す
白菅の真野の榛原心ゆも 思はぬ我れし衣に摺りつつ 万1354
*白菅の真野の榛の実の染料は心から気に入っているわけではないけれど、それで布を染めました。
真木柱作る杣人いささめに 仮廬のためと作りけめやも 万1355
*真木の柱を作る大工は、仮小屋だからいい加減に作ったのだろうか。
【似顔絵サロン】同時代の乱、672年の壬申の乱の関係者:民 大火 たみ の おおひ ? - 703大宝3年9月8日 飛鳥時代の人物。渡来人系氏族。672年、壬申の乱で高市皇子に従って都を脱した。仲間は、赤染徳足、大蔵広隅、坂上国麻呂、古市黒麻呂、竹田大徳、胆香瓦安倍
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7
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