万葉集巻第七1363‐1369番歌(天雲に近く光りて鳴る神し)~アルケーを知りたい(1372)
▼今回の七首は心がほっこりする。1369の雷の歌は怖いもの見たさの気持ちが面白い。
春日野に咲きたる萩は片枝は いまだふふめり言な絶えそね 万1363
*春日野で咲いている萩の片枝はまだ蕾です。大事に言葉をかけてやってください。
見まく欲り恋ひつつ待ちし秋萩は 花のみ咲きてならずかもあらむ 万1364
*見るのを楽しみにしてずっと待っていた秋の萩。花だけ咲いて実は生らないまま終わるのだろうか。
我が妹子がやどの秋萩花よりは 実になりてこそ恋ひまさりけれ 万1365
*私が恋しく思っている娘の実家の秋萩。花より実をつけてからのほうが恋しさが募ります。
鳥に寄す
明日香川七瀬の淀に棲む鳥も 心あれこそ波立てざらめ 万1366
*明日香川の七瀬の淀に棲んでいる鳥もに心があるのでしょう、波を立てないよう気配りしています。
獣に寄す
三国山木末に棲まふむささびの 鳥待つごとく我れ待ち痩せむ 万1367
*三国山の梢に棲むムササビが鳥を待つがごとく、私も思っている人を待つうちに身が細ってしまいました。
雲に寄す
岩倉の小野ゆ秋津に立ちわたる 雲にしもあれや時をし待たむ 万1368
*岩国の小野から秋津にかけて空にかかる雲とでもいうのでしょうか。何か時期が来るのをお待ちなのでしょうか。
雷に寄す
天雲に近く光りて鳴る神し 見れば畏し見ねば悲しも 万1369
*天の雲の近くでピカピカっと光っては鳴る雷神。見ると畏れ多く、かといって見ないと物足りない。
【似顔絵サロン】同時代の乱、672年の壬申の乱の関係者:大蔵 広隅 おおくら の ひろすみ ? - ? 飛鳥時代の人物。672年、壬申の乱で高市皇子に従って都を脱した。仲間は、民大火、赤染徳足、広隅、坂上国麻呂、古市黒麻呂、竹田大徳、胆香瓦安倍。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7
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