万葉集巻第七1382‐1387番歌(伏越ゆ行かましものを)~アルケーを知りたい(1375)
▼1382や1385のように否定形を使う表現は、すっとアタマに入って来ない。いちど肯定形に転換しようとするからだろう。1387のように、グズグズしているからタイミングを失した、とストレートなほうが分かりやすい。でも和歌は分かりやすさだけを目指すものではない。感情の機微を表現するときは否定形が出てきてもおかしくないのだ。
泊瀬川流るる水沫の絶えばこそ 我が思ふ心遂げじと思はめ 万1382
*泊瀬川の流れがもし途絶えでもしたら、私の思いも遂げられないでしょう。
嘆きさば人知りぬべみ山川の たぎつ心を塞かへてあるかも 万1383
*嘆いたら人に知られるので、山を激しく流れる川のような思いを塞き止めています。
水隠りに息づきあまり早川の 瀬には立つとも人に言はめやも 万1384
*潜水中、息がきつくなって流れの速い瀬で立ちあがります。でも人に思いを言ったりはしません。
埋もれ木に寄す
真鉋持ち弓削の川原の埋れ木の あらはるましじきことにあらなくに 万1385
*弓削の川原の埋れ木が表に出て来ない、なんてことはありません。
海に寄す
大船に真楫しじ貫き漕ぎ出なば 沖は深けむ潮は干ぬとも 万1386
*大船の楫を突き出して漕ぎ出ましょう。潮が引いていても沖は深いでしょうから。
伏越ゆ行かましものをまもらふに うち濡らさえぬ波数まずして 万1387
*匍匐前進してでも行くべきだったのにぐずぐずしたからタイミングを失いました。
【似顔絵サロン】同時代の乱、672年の壬申の乱の関係者:竹田 大徳 たけだ の だいとく ? - ? 飛鳥時代の人物。出自は不明。672年、壬申の乱で高市皇子に従って都を脱した。仲間は、民大火、赤染徳足、大蔵広隅、坂上国麻呂、古市黒麻呂、胆香瓦安倍。
〔参考〕
伊藤博訳注『新版 万葉集二』角川ソフィア文庫。
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/dicDetail?cls=d_kanno&dataId=7
コメント
コメントを投稿